(一社)北部九州河川利用協会 熊本地震支援河川防災館連携事業
熊本の子ども達を嘉瀬川の自然で元気づけよう!
嘉瀬川防災施設さが水ものがたり館 館長 荒牧 軍治 さん
2016年10月8〜9日佐賀市
自然を嫌いなままでいて欲しくない
平成28年4月14日と16日に発生した熊本地震は、道路や建物を破壊したばかりでなく、子供たちの心にも「自然の恐怖」という爪痕を遺しました。自然は、時々人間に対して牙をむきますが、普段は優しい水や風が生き物を育て、人間の生活を支え、心を癒してくれます。地震で痛めつけられたことで、自然を嫌いになったままでいて欲しくないとの願いを込め、「暴れる」自然の脅威で傷ついた子供たちの心を「優しい」自然の力を借りて癒すプログラムを実施しようとの企画が持ち上がり、(一社)北部九州河川利用協会の支援を受けて、白川わくわくランド(白川)、さが水ものがたり館(嘉瀬川)、くるめウス(筑後川)の3河川防災館連携事業として実施することにしました。その第1弾を10月8日、9日の両日、さが水ものがたり館を中心とした嘉瀬川流域で実施しました。
雨の中、プログラム開始
白川わくわくランドの方々のご努力により、小学生22名、中学生2名、保護者16名、合計40名の参加者が集まりました。
8日の9時に白川わくわくランドを出発したバスは予定の11時より早くさが水ものがたり館に到着しました。スマホで雨雲レーダーを凝視していたカヌーの責任者から「強い雨雲が来る前にA班をカヌーに乗せます」の一声で、オリエンテーションもなくプログラム開始です。以後は、雨雲レーダーを頼りに、雨の間を縫ってのプログラム実施となりました。
「川流れもしてきた」とずぶ濡れのカヌー班が帰館し、着替えが済んだところで急遽雨バージョンに変更。長崎大学大学院生の天谷君から「嘉瀬川の水生生物」の講話を聞いた後、水生昆虫の標本づくりを行いました。佐賀大学の学生達が作ったコースにイシガメとクサガメを並べてのレースで大興奮した後は、さが水ものがたり館に展示してある成富兵庫茂安の治績を題材として、荒牧館長が講話「水の怖さと恵みを考える」を聞き、水の怖さと恵みを学びます。
学習が終わったところで、カレーパーティーの始まりです。自分で炊飯袋に仕込んで炊いたご飯には、堅いものがあったり柔らかすぎるものがあったりですが自分で炊いたものですから誰も文句を言いません。
2日目の朝、せっかく晴れたのに…
前日の雨も収まり、2日目は朝から晴れの予報で一安心。ところが、参加者全員でバルーンを拡げ、大型の扇風機で球皮に風を送り始めた頃には、ゴンドラを引きずるほどの強風が吹き、インフレーション(膨張)は中止に。係留飛行は取りやめになってしまいましたが、リーダーの「ゴンドラ搭乗だけは後でやろう」に少しだけ救われました。 嘉瀬川堤防に接した防災ステーションの会議室で地元嘉瀬町の「かせ女性ネットワーク」の皆様に用意して戴いた新米の炊きたてのご飯と豚汁、農家の会員さんが育てた野菜を漬け込んだ漬け物、佐賀県有明海漁協から寄贈して戴いた焼き海苔とヨーグルトで朝食です。「おかわり自由です」の声におかわりをする人続出で、用意された方々も満面の笑みでした。
佐賀市が、世界選手権にあわせて10月1日に開館したバルーンミュージアム1階の大画面に映し出された熱気球に圧倒され、画面に見入っている参加者。「面白かったけど、時間が短すぎる」との不満の声あり。参加者の一番人気は、熱気球を操縦できるフライトシミュレーター。高度によって異なる風向きが表示されバーナーを焚いて上昇、紐を引いて下降する操縦装置を操って、目的地を目指そうというゲームですがこれがなかなか難しそう。風に流されて目標から離れてしまう人続出で、館内に悲鳴が響いていました。
ラムサール登録 東よか干潟見学、そして熊本へ!
嘉瀬川が有明海に注ぐ海岸には、日本最大の広大な干潟が拡がっています。日本の干潟の4分の1の面積を有する有明海干潟は、シギ・チドリをはじめとする水鳥の宝庫です。世界の重要な湿地を保全する「ラムサール登録湿地」に荒尾干潟に続いて、佐賀県内の東よか干潟と肥前鹿島干潟の2つの干潟が新たに登録されました。シギ・チドリの飛来数日本一の東よか干潟に触れて貰いたくて、今回のイベントに干潟見学を組み込みました。
東よか干潟の全体が見渡せる海岸堤防上で、東よか干潟の素晴らしさとラムサール登録の意義を聞いた後、干潟近くまで移動します。潮の関係で水鳥たちを間近に見ることはできませんでしたが、遠くに点在する水鳥の姿は確認できました。
東よか干潟公園内の紅楽庵で弁当昼食をとり、2日間のプログラムは全部終了です。あいにくの雨模様でプログラムは全体が予定通り実施できたとは言えませんが、雨雲レーダーを睨みながらのプログラム進行は結構スリルがあり、楽しいものでした。「気ままな自然と付き合うというのはこういうもの」と納得したイベントでした。
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